液胞(細胞内の水)
日本が本当に誇っていい今年のノーベル賞受賞
単独受賞の形で評価された、国策とは無縁の地味な研究成果
2016.10.11(火) profile 伊東 乾 Japan Business Press
オートファジーの研究は「何の役に立つか?」という、何も頭を働かせないマスコミ記者の何の役にも立たない質問に対して、大隅先生は「何の役にも立たなくてもいいんじゃないですか?」という大人の答えをお返しになっているようです。
実は、こんな質問をする人に何か答えても、それ自身が何の役にも立たないのが明らかであるし、分かる人はこんな質問をせずとも、こうした基礎生理の本質から、いくらでも役に立つ叡智を導き出すことができるでしょう。
オートファジーはいったい何の役に立つか・・・?
それは、貴方の生命を維持存続させるうえで、今日1日だけでも無数に役立てられ、貴方自身がいま現在、生きながらえることができている。
オートファジーの取材に来ていながら、それが分からないとすれば、何も調べず何も考えずに足だけ運んでいるということなのだから、それ相応にあしらっておけばよいということだと思います。
液胞(vacuole)というパーツは大半の細胞の中で観察されますが、かつては老廃物などをため込んでおくだけのゴミ箱みたいな代物とみなされ、多くの注意を惹かず軽視されていました。
「液胞」は地味で、基礎的で、またその分本質的な脇役的存在であったわけです。
「液胞」の働きは必ずしも、三大成人病の特効薬に直結するとか、製薬会社が巨額の補助金を提示してくれるとか、おかしな情報を発信すると未公開株の価格が操作できるとか、およそそういう話とは無縁の存在でもある。
この地味でお金にもならず、大半の人が見向きもしなかった液胞から「自分自身のパーツを分解して再利用する、驚くべき『第3の死』細胞の自食作用」を解明された大隅先生のお仕事を、次回もう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
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未だ多くの化学者は 『外部から摂取した物質が体内に備わる物質の化学変化によってヒトの細胞が作られている』 と考えている。それはとても愚かなこと。 その意味において大隅良典氏のオートファジーの発見は大きく今後の医療にとって非常に役に立つものであり、 そしてこれまでの化学、医療のあり方を根底から覆すもの。
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ただそれを既存の多くの化学者もマスコミも受け入れられないでいる。 だから物質的な数と量の発展のない研究成果に 「何の役に立つのでしょうか?」 と馬鹿げた質問が出る。本当に失礼であり愚かなことである。
発見されたオートファジーは細胞という生命体が新たな生命体を作り出すと言うもの。 部品と部品を組み合わせ、更に化学物質を投与すれば化学変化によって新たな細胞が蘇生されるのではないと言うこと。
オートファジーを更に発展させて考えると、細胞が自身に必要な物質も菌・微生物も新たに作り出すと言うことである。 それが自らの抗体菌であり抗体バクテリア生成であり免疫力である。 大隅良典氏はそれが分かっておられるからオートファジーを発見出来たし、それが分かっておられなければオートファジーなど発見出来ない。
酵母という植物細胞は全ての動物細胞のベースとなる言わば基礎細胞。 ゆえにそれが動物細胞との融合に拒絶反応が出ない。 その酵母細胞を構成する菌・微生物は細胞内の水(液胞)に存在する。 酵母細胞という単細胞生物も更にそれより小さな菌・微生物によって創られている。 ミトコンドリアの善し悪しもこの細胞内の水の善し悪しが左右する。
オートファジーの証明はこの細胞内の水(液胞)の研究に時間を注がれて証明されたもの。